フィリピンとゴミ山
●ゴミ山とは
フィリピンではゴミの焼却が法律で禁止されおり、各地で収集された
ゴミは焼却されずに廃棄場に積み上げられ、山のように見えるため
ゴミ山(ダンプサイト)と呼ばれています。
ゴミ山からは有毒なガスや悪臭が発生したり、周辺のスラムには
コレラや赤痢、マラリア、皮膚疾患、結核、腸チフスなど、35種類以上
の疾病が広がっています。フィリピンには複数のゴミ山が存在し、
パヤタス・ダンプサイトもその一つです。1980年代後半頃から、深刻な
問題であるとして政府が動き出し、ゴミ山の一部は閉鎖されたものの、
未だにこの現状はほとんど変わっていません。
●スカベンジャー
スカベンジャーとは、毎日約6000トンも運ばれてくるゴミの中から、
ビン、プラスチック、金属など、売却しお金に換えられる資源を
拾い集めて、日々の生活の糧を得ている人々を意味します。
ゴミ山から得られる収入は1日で約150~400ペソ(日本円で約285~760円)
で、老若男女、まだ10歳にも満たない子ども達も家計を支えるために
スカベンジャーとして働いています。
●フィリピンのゴミ山
スモーキーマウンテン
フィリピンにあるゴミ山には、蓄積されたゴミが東京ドーム6個分あり、
ゴミの腐敗や太陽による自然発火、メタンガスなどの有毒ガスの煙が
常に上がっていることから、現地ではスモーキーマウンテンと呼ばれて
います。ゴミは増え続け、この有害な煙は現地の人々の健康に様々な害
を及ぼしています。
パヤタス・ダンプサイト
くじらの支援しているパヤタス地区のゴミ山は、南北二つの山を合わせ
約22ヘクタールの敷地を持つ民営の廃棄物処分場です。
パヤタス・ダンプサイトは、主にフィリピンの首都マニラからのゴミを
廃棄する場となっています。周囲では多くのスカベンジャーがバラック
を作り居住しており、不衛生な環境下で危険な仕事をせざるを得ない
暮らしを送っています。
2000年のゴミ山崩落事故
2000年7月10日午前8時頃、連日の雨によってパヤタス・ダンプサイトで
高さ約30m幅約100mにわたりごみの山が崩落し、約500軒の家屋が下敷き
となりました。死者、行方不明者は200人~1000人とされ、崩落は学校の
休校日であったため、大勢の子ども達も事故に巻き込まれ亡くなりました。
事故によってこのゴミ山は閉鎖されましたが、政府は市内から出るゴミの
投棄を、崩壊したゴミ山のすぐ横のゴミ山で行うことを決定しました。
これが現在もゴミ投棄が続いているパヤタスの第二のゴミ山です。
被災後もスカベンジャーは生活の糧がないため、危険なゴミ山に通い続けています。